死亡率考、沖縄・秋田そして東京
中澤堅次 NPO法人医療制度研究会理事長
70歳で定年を迎え、最後を臨床でと思い秋田行きを決めた。秋田の死亡率が日本一で、医師の数も少ないといわれていたことも動機になった。
最初は1、2年で引き上げるつもりだったが、環境の良さと働きやすさで知らないうちに10年が過ぎた。
印象は、冬の道路の雪かきがブルで大規模に行われ、冬の経済活動が特別落ちることはない。自殺の話も一回聞いたが、どこがワーストワンなのかよくわからない。そろそろ帰る頃に、死亡率の問題かもしれないと思い勉強し、2年がかりで結論を得た。
秋田死亡率ワーストワンは、粗死亡率で算出された順位だが、太平洋戦争の戦禍が少なかった秋田の高齢人口が今日まで維持されていることと、若者の流出で死亡率の低い世代の人口が減少したことが原因と考えられた。しかし、自治体間の人口規模を補正すると、最高齢の階級で全自治体の死亡率が1となり、全年齢で比較しても、自治体間の死亡率はほとんど差はないことがわかった。
いずれにしても粗死亡率は、よく言われるような、自治体の健康事情を反映するものではないという結論である。