第114回講演会(医師の働き方改革と名ばかりの宿日直の問題(全国医師ユニオン代表:植山直人)
日本の医師数はOECD加盟国平均と比較すると10万人以上不足しています。医師不足はまだ記憶に新しい、女性受験者差別問題だけでなく、地域の医師不足を解消のために導入された医学生の地域枠問題等にも関連しています。医師不足の解消がないままに、2024年4月から「医師の働き方改革」が実施されますが、それに対応しながら、若手医師をリクルートしなければ生き残れない病院は、厚労省が2019年秋に打ち出した公立・公的病院の再編統合方針を受け入れざるをえません。再編統合が全国で進めば、医療空白地帯が各地で発生する危険性も高まっています。今回取り上げた「名ばかり宿日直」問題は、地域医療を崩壊させないためという理由で、医療の夜間当直帯の時間を、実際は働いていても「働いていない」ことにして医師の労働時間を見かけ上短縮する問題です。疲弊した医師による医療事故の発生、そして医師の過労死や過労自死が高まることを懸念して、私たちは反対の声を上げています。